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福岡高等裁判所 平成11年(ネ)183号 判決 1999年6月30日

主文

一  本件控訴をいずれも棄却する。

二  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一  控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  主位的請求

1  原審一二六四号事件

控訴人Aと披控訴人との間において、原判決添付別紙生命保険契約目録一記載の生命保険契約に基づいて、同控訴人が死亡保険金二〇〇〇万円の支払請求権を有することを確認する。

2  原審一三七一号事件

控訴人Aと被控訴人との間において、原判決添付別紙生命保険契約目録二記載の生命保険契約に基づいて、同控訴人が死亡保険金一五〇〇万円の支払請求権を有することを確認する。

三  予備的請求

1  原審一二六四号事件

控訴人らと被控訴人との間において、原判決添付別紙生命保険契約目録一記載の生命保険契約に基づく死亡保険金について、控訴人Aが五〇〇万円、同B及び同Cが各二五〇万円の各支払請求権を有することを確認する。

2  原審一三七一号事件

控訴人らと被控訴人との間において、原判決添付別紙生命保険契約目録二記載の生命保険契約に基づく死亡保険金について、控訴人Aが三七五万円、同B及び同Cが各一八七万五〇〇〇円の各支払請求権を有することを確認する。

第二  事案の概要

事案の概要は、原判決四頁九行目の「Cは」の次に「両名間の」を、同行の「被告は」の次に「Eの」を、それぞれ加え、同行の「右E」を「E」と改め、五頁二行目の「社団法人日本」の次に「貨物」を加え、七頁一行目の「女性関係で」を「女性関係がもとで」と、九頁六行目の「扶養する」を「扶養しようとする」と、それぞれ改めるほかは、原判決の「第二 事案の概要」欄(原判決四頁八行目から一二頁九行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  争点に対する判断

一  当裁判所も、控訴人らの本件各請求はいずれも理由がないものと判断するが、その理由は、原判決の「第三 争点に対する判断」(一二頁末行から一八頁六行目まで)に説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決一三頁一〇行目の「主な原因は」を「原因には」と、同末行の「不貞関係にあると考えられる」を「不貞行為がある」と、一四頁二行目の「有責配偶者である」を「有責配偶者といい得る」と、同四、五行目の「支払いを免れ得なかった」を「支払いも当然予想された」と、一五頁一ないし三行目を「記資産処分行為は、これらの支払義務の履行を著しく困難とさせる行為であって、Eが別居中の平成八年八月までは平均月二〇万円程度の、同年九月からは平均月五万円程度の生活費の支払いをしていたことを考慮しても、夫及び父としての責務に欠けることは明らかである。」と、それぞれ改める。

2  原判決一五頁四行目の「しかしながら、」から同五行目の「特に」までを削り、一六頁七行目の「よって、」を「そうすると」と改め、同八行目の「なされた」の次に「こと」を加え、同九行目の「以上」を「、Eは死期が迫っていることを認識してこれら一連の処分行為をしたのか、控訴人Aとの離婚交渉を有利に進めようとして行ったのかは必ずしも明らかでないこと(乙二の1及び2によれば、癌の告知はされていない。)、被控訴人は年金生活者であり(控訴人A本人)、老後に不安があることを考慮すれば、」と改め、同末行の「この抑制は」から一七頁一行目の「べきであって、」を削り、同二行目の「無効であると」の次に「まで」を加え、同行末尾に「そして、他に本件保険金受取人変更が権利濫用であると認めるに足りる証拠は存しない。」を加える。

3  原判決一七頁四行目から一八頁六行目までを次のとおり改める。

「 死亡保険金請求権は、保険契約の効力発生と同時に、指定された受取人の固有財産となり、被保険者の遺産より離脱しているものと解すべきであるから、遺留分減殺請求の対象となるものではないと解するのが相当である。前示認定の本件の事実経過を検討しても、この解釈を変更する実質的理由も見出し難い。よって、控訴人らの主張は理由がない。」

二  以上によれば、控訴人らの本件各請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がなく、これと同旨の原判決は相当である。よって、本件控訴はいずれも理由がない。

(平成一一年四月二三日口頭弁論終結)

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